個人で銀行から借り入れする方法
銀行の融資審査は、「消費者金融などと比較しても厳しく通りにくい」というイメージを持っている人も多いと思います。そのため、実際にお金を借りようと思っても「銀行は自分にお金を貸してくれるだろうか?」と、不安になる人もいるでしょう。
特に、キャッシングやカードローンを利用する人からすると、銀行はハードルが高いと感じるようです。
そこで、今回は銀行から個人的に借り入れをする方法を、ローンの種類や審査に関する情報を交えながら、詳しくご紹介していきます。これを見ると、銀行に抱いていたイメージが少しは変わるかもしれません。
個人で借り入れできるローンの種類
ローンと言っても、その種類は様々で個人の用途や利用目的、利用額に応じて、銀行が希望に合ったローンを提供してくれます。銀行で利用できる個人ローンとしては、住宅ローン・マイカーローン・教育ローン・フリーローン・カードローンなどがあります。
住宅ローン:マイホームを購入する際に利用するローンで、一戸建てやマンションなどの購入や、リフォーム目的でも利用が可能です。
ローン返済中に、別の住宅ローンへ借り換えすることも可能です。
このローンでは融資額が多額になるケースがほとんどですが、家自体が担保となっているため、基本的には保証人は必要ありません。
マイカーローン:銀行によっては自動車ローンなどと呼ばれることもあるローンで、その名の通り、自動車を購入する目的で利用するローンです。
このローンには、ディーラーで組むことができる提携マイカーローンもありますが、銀行で借入れをする場合、ディーラーを挟まないので比較的低金利となっているところが多いです。さらに、融資を依頼する銀行に口座を開いていることで更に金利が低くなるサービスもあります。
マイカーローンも、住宅ローンと同様に車が担保となっているので、基本的に保証人を設ける必要はありません。
教育ローン:お子さんがいる方が、子供の将来の教育資金として利用できるローンで、国や公的機関が提供するものと、各銀行などの金融機関が提供するものの2種類があります。
国や公的機関が提供するローンは、金融機関と比べて金利が低く設定されています。また、他のローンとの併用も可能なので利用しやすいです。
銀行が提供するローンは、3歳頃から利用できるものが多くあり、融資額も国や公的機関のものよりも高めに設定されています。ただし、その分金利は比較的高めとなっています。
近年では、幼稚園や小学校からお受験をする家庭が増えているため、3歳頃から利用可能に設定されています。
フリーローン:銀行のローンは用途・目的に応じたローンがほとんどですが、このローンは用途や目的に制限がなく、事業性投資資金や投機性資金として利用するのでなければ、自由に利用できるローンとなっています。
特に利用目的で多いのが結婚資金・旅行資金などで、その他にも、整形手術などの保険適用外の手術費用して利用する人もいます。
このローンの金利は、消費者金融のキャッシングなどと比較しても半分以下に設定されていることが多く、消費者金融の金利相場が3.0%〜18.0%ですから、銀行のフリーローンはその半分ということになります。
銀行により担保の有無は異なりますが、無担保借入よりも有担保借入の方が低金利で融資額も高額設定の傾向にあります。
カードローン:銀行でもカードローンを提供しており、専用カードを使用してATMなどから無担保借入ができます。
あらかじめ利用限度額が設けられており、その範囲内であればいつでも回数に制限なく利用することが可能です。ほとんどの銀行では無担保借入となっていますが、中には有担保型のローンもあります。
有担保型カードローンで担保とするものは、不動産が最も多いです。担保を設定することで、無担保借入よりも融資限度額が大幅に上がり、中には1億円以上というものも存在します。
これらの個人ローンの他に、都市銀行を中心に提供するところが増えているものに、リバースモーゲージと呼ばれるローンがあります。
リバースモーゲージ:住宅ローンの一種で、担保を自宅に設定して老後の資金とするものです。
住宅ローンは、購入するための資金を家を担保として借りるものですが、リバースモーゲージは、既に所有している持家を担保として毎月一定額を融資してもらい、生活資金に充てるというものです。
このローンの場合、利用者は高齢者となるため、返済する代わりに死亡時に担保の家を処分することで、返済資金とします。
個人で銀行から借り入れする時の審査
銀行でローンを利用する場合、有担保借入れでも無担保借入でも審査があります。ローン審査でチェックされることは、「安定した収入があるか」と「返済に対する負担度合」の2つです。
安定した収入があるか
個人ローンですから、利用者に返済できるだけの収入がなければ借入れを行うことはできません。しかし、収入があれば良いというわけでなく、その収入が毎月安定して得られるかどうかが問題です。
例えば、収入があってもアルバイトを転々としている状況ではいつ職を失うか分からないため、ローン審査は通りにくくなります。
企業の正社員であれば、勤続年数を参考に収入の安定度が判断され、自営業であれば、過去3年〜5年の経営状態と収益を参考にして安定度を判断することが多いです。
返済に対する負担度合
収入が安定していれば大丈夫だと思われがちですが、それは他の金融機関や消費者金融などから無担保借入などをしていない場合に限ります。いくら収入が安定しているからと言っても、多重債務者に喜んでお金を貸す銀行はありません。
なぜなら、他社のローンを支払いながら、新たに銀行の個人ローンを支払えるとは考えにくいからです。どちらのローンも返済できるのならば、そもそも無担保借入などする必要はないわけです。
無担保借入でも有担保借入れでも、利用者が今後安定して返済ができるかどうかを判断するためには、返済比率と呼ばれるものを基準にします。
返済比率とは、個人の年収に対して負担にならない程度の返済額を見極める際に利用します。
返済比率は、年間のローン返済額を年収で割ることで算出することができます。最大比率は30%〜40%になっており、それよりも下回っていれば返済能力があると判断されます。銀行の個人ローンの審査では、利用者の信用情報をいち早く、また適正に得るため、個人信用情報機関と提携しています。
個人信用情報機関とは、消費者信用の円滑化などを図る目的で設置されている情報機関で、クレジットカードやカードローンなどの無担保借入、その他あらゆるローン利用に関して、様々な情報が登録されています。
現在、日本には3つの信用情報機関があり、それが「(株)日本信用情報機構(JICC)」・「(株)シー・アイ・シー(CIC)」・「全国銀行個人信用情報センター(JBA)」です。
全国銀行個人信用情報センター
一般社団法人 全国銀行協会が運営しており、主な会員は銀行です。登録されている情報としては、個人の属性情報・取引情報・照会記録情報・官報情報・本人申告情報などです。
取引情報とは、カードローンなどの無担保借入や、その他の有担保ローン、クレジットカードなどの契約内容や利用状況、返済状況などの履歴などです。このうち返済状況では、入金の有無や延滞・代位弁済・強制執行などがあるかどうかが分かります。
登録期間は、契約期間中と契約終了日(完済した日)から5年以内となっています。
照会記録情報とは、無担保借入・有担保借入や、クレジットカードなどの申し込み・契約内容などが登録されています。登録期間は、利用日から1年以内、または6ヶ月以内となっています。
日本信用情報機構
主な会員は消費者金融ですが、銀行などの金融機関も登録しています。登録している銀行は、ネット銀行が中心となっています。
シー・アイ・シー
主な会員はクレジットカードを扱う信販会社ですが、消費者金融なども登録しています。信用情報の量でいうと、3社の中で最も多いです。
信用情報の登録期間においても3社共に異なっています。中でも延滞の情報や債務整理に関する情報においては、3社ともそれぞれ異なっています。
- JBA=延滞情報:延滞が解消されてから5年間、債務整理情報:10年間
- CIC=延滞情報:延滞が解消されてから5年間、債務整理情報:5年間
- JICC=延滞情報:延滞が解消されてから1年間、債務整理情報:5年間
銀行の審査が厳しいと言われるのは、こうした信用情報機関に複数加盟しているからです。
まずは銀行の借り入れからがおすすめ
審査基準については、カードローンなどの無担保借入から、住宅ローンなどの有担保借入に至るまで、消費者金融よりも銀行の方が厳しいです。それは、消費者金融よりも銀行の方が低金利となっているからで、融資する相手が安定した収入があり、多重債務者ではないかなどをしっかりと審査するためです。
このうち測量規制とは、個人の借入総額が年収の3分の1までに制限する規制のことです。消費者金融のカードローンなどの無担保借入の場合、審査を通過し借入れができたとしても、銀行に比べて金利が高いため、長期借入になると利息だけでも相当な返済額になってしまいます。
また、消費者金融を利用するということはあまり良いイメージを持たれないのも事実です。
それは、消費者金融が1970年代後半から1990年代に、いわゆる「サラ金」と呼ばれていた時代が大きく関係しています。
この時代には、現在のような信用情報に基づく審査などが行われておらず、安定した収入が得られるサラリーマンを中心に、多くの人達が利用していました。そのため、何社にも無担保借入を行う多重債務者が増加しました。
また、高利貸しと呼ばれるヤミ金も増えたことで、過剰な取り立てが社会的問題となったのです。
銀行は、こうした背景がある消費者金融を軽視している部分があります。仮に個人ローンの申し込み者が、過去に消費者金融のカードローンで無担保借入を行った事実が、信用情報によって発覚した場合には、「消費者金融での利用歴があるということはお金に困っているのでは?」と、判断されがちです。
すると、銀行は少しでもリスクをはらんでいる申し込み者には融資する意志はないため、審査で落とされる可能性が高くなります。
一方、消費者金融では、審査は銀行のように厳しくないため、たとえ他社での借入れがあったとしても、審査を通る可能性もあります。また、銀行のカードローンなどで無担保借入をしていても、銀行のようなイメージダウンにはつながりにくいです。
銀行からすると、申し込み者の信用情報に消費者金融の利用歴があると、ローン審査の上ではマイナスにはなります。しかし、消費者金融の利用歴があるからと言って、銀行でお金が一切借入れができないわけではなく、消費者金融の利用歴がない人と比べると借りにくくなるということです。
ですので、たとえ過去に消費者金融を利用していても、銀行での借入れを諦める必要はないのです。ただし、多重債務などをしている場合には、銀行への印象は悪くなるため無担保借入でも難しくなります。
この場合、借入れを行っている消費者金融が2社以内であることが、審査合否の分かれ目になります。
また、銀行の住宅ローンなどの有担保借入では、個人の属性情報(氏名・生年月日・性別・住所・電話番号・勤務先など)に何らかの問題があると、長期的返済が不可能とみなされ審査通過を困難となる可能性があります。
このような理由から、銀行の個人ローンの審査を通過させやすくするためには、自身の信用情報をいかにきれいにしておくかが大きなポイントとなります。消費者金融を利用することは決して悪いことではありません。しかし、銀行の信用情報からするとイメージ的にはマイナスになりがちです。
従って、個人ローンを利用する場合には、たとえカードローンなどの無担保借入であっても、消費者金融を利用する前に銀行の無担保借入から申し込むようにすると良いでしょう。
銀行の個人ローンを利用した方が、消費者金融と比べても金利が低いので、長期借入でも利息総額が低く抑えられるのでおすすめです。
まとめ
銀行の個人ローンと言っても、その種類には住宅ローン・マイカーローン・教育ローン・フリーローン・カードローンと、いくつもの種類があります。これらのローンには、目的・用途などが決まっているものと、自由に利用できるものの2タイプがあります。
住宅ローンやマイカーローン、教育ローンなどは、利用する目的が決まっていますが、フリーローンやカードローンは、事業性投資資金や投機性資金として利用しいない限りは、自由に使うことができます。
銀行のローンというと、どのタイプでも連帯保証人を立てないと借入れができないように感じますが、決してそのようなことはありません。
例えば、住宅ローンやマイカーローンにおいては、購入するモノが担保となる有担保借入れとなり、住宅ローンでは家が、マイカーローンでは自動車が担保となります。そのため、基本的には連帯保証人を立てなくても利用できます。
ただし、以下の条件によっては、住宅ローンやマイカーローンでも連帯保証人が必要になります。
住宅ローン
@債務者が1人ではなく、夫婦または親子など複数人にわたる場合、
A自分の名義ではなく、親などの他人名義の土地にマイホームを建てる場合、
B今の勤務先での勤続期間が極端に浅い場合、
C自営業の場合、
Dパートやアルバイトなどで安定した収入が難しい場合、
などです。
マイカーローン
@今の勤務先での勤続期間が極端に浅い場合、
A住宅ローン以外の無担保借入などがある場合、
B融資額が多額である場合、
Cパートやアルバイトなどで安定した収入が難しい場合、
D未成年の場合、
などです。
この2つのローンを利用する際、これらの条件に当てはまる場合には連帯保証人が必要になる可能性があります。住宅ローンやマイカーローンのような有担保借入型のローンはもちろん、カードローンなどの無担保借入型のローンでも審査が必要となります。
この審査を通過できなければ、借入れを受けることはできません。
現在のローン審査は、個人信用情報機関が提供する信用情報をもとにして審査を行います。これは、銀行の個人ローンに限ったことではなく、消費者金融のカードローンなどでも同様に審査を行います。
日本には、現在3社の個人信用情報機関がありますが、加盟している金融機関や信用情報の保有期間、情報量などにおいて、それぞれ異なっています。
全国銀行個人信用情報センター(JBA)
全国銀行協会が運営する個人信用情報機関で、主な会員はメガバンクや地方銀行などです。登録されている信用情報としては、個人の属性・取引情報・照会記録情報・本人申告情報などです。
信用情報の保有期間は完済した日から5年以内となっています。延滞情報においては延滞解消から5年間は登録されており、債務整理においては10年間となっています。
日本信用情報機構(JICC)
主な会員は消費者金融で、その他にネット銀行なども加盟しています。JICCの情報保有期間は、延滞情報は1年間、債務整理情報は5年間となっています。
シー・アイ・シー(CIC)
主な会員はクレジットカード会社(信販会社)で、他にも消費者金融も加盟しています。3社の中で最も情報量が多いため、自分の信用情報を確認したい場合は、CICに開示申請すると良いでしょう。
銀行のローン審査では、個人信用情報の他に勤務先や勤続期間、年収なども確認されます。特に返済能力の有無に関係する年収については必ず確認されます。銀行は消費者金融と比べて金利が低く設定されているため、その分審査も厳しいです。
そのため、過去に消費者金融の利用履歴がある場合、全く利用したことのない人と比べてマイナスのイメージが付きやすくなります。逆に、消費者金融では、過去に銀行のローン利用歴があっても、審査に影響することはありません。
従って、個人ローンを利用する場合には、銀行からの借入れを先に利用するようにしましょう。